テシゴト・テアソビ。クリエイターと職人の出会い

対談 デザイナー大塚美智代さん×富藤祐繊維株式会社 代表取締役 藤原博明さん

大塚さんの手仕事をしっかりサポートしてくれるのが
播州織の職人さんたち。
西脇には、さまざまな技を職人さんたちがまだたくさん残っていますが、
今回はジャガードのからみ織の技術を受け継ぐ、
藤祐繊維株式会社 代表取締役 藤原博明さんと対談しました。

藤原さんの工房で対談する大塚さんと藤原さん

西脇の中心街から少し離れたのどかなエリアにある藤原さんの工房(左は自宅)

力織機を前に入念に打ち合わせをする大塚さんと藤原さん

力織機を前に入念に打ち合わせをする大塚さんと藤原さん

大塚さんのウロコ柄生地の紋紙を力織機にかける藤原さん

大塚さんのウロコ柄生地の紋紙を力織機にかける藤原さん

織り上がったテキスタイルをチェックする

織り上がったテキスタイルをチェックする

大塚:

藤原社長と初めてお会いしたのは、2011年の秋でしたね。

藤原:

うちにある古い力織機で、何かおもしろいことができないかなと大塚さんにお願いしたのがきっかけですね。この織機は60年ほど前のもので、当時は西脇にもたくさんあった織機ですが、今では日本全国を探しても北陸に一台あるだけ。西脇でも知られなくなってしまった貴重な織機です。部品を作っているメーカーもすでになくて、私が手作りしているんですよ(笑)。放っておいたら、この技術がなくなってしまう。この技術を残していきたい。繋いでいきたい。そんな危機感と使命感もあって大塚さんにお会いしたんです。

大塚:

古い織機って、最新の織機にはない味わいが出せるのが魅力。それも産地の職人さんが大事に使ってきてくれたからこそです。ジャガードのカラミ織が過去にどういうふうに流通していたかというお話もお聞きし、その価値を再認識しました。どんなテキスタイルをデザインしようかと本当にワクワクドキドキの毎日でした。

藤原:

西脇には、ありとあらゆる機械があります。巨大産地だったゆえに大量に安く生産していましたが、価格勝負になると海外に勝てませんでした。付加価値があるものでないと、と10年ほど前から模索が始まったんです。でもうちのような工房では、思うように行動できませんでした。そんな時、大塚さんのような若いデザイナーさんが来られるようになって…。産地の空気が変わりました。彼女たちとコラボレーションすることで今までにないものができるんじゃないかと期待が膨らみましたが、その予感は当たりましたね。それにして も大塚さんは、私たちと感性が全く違うのを実感します。こんな柄(ウロコ柄)、職人たちには思いもつかない柄です。

1枚1枚柄の見え方が違うのも魅力のストール

1枚1枚柄の見え方が違うのも魅力のストール

大塚:

私たちも直に職人さんたちとお話することで気づくことがたくさんあります。それに播州織の職人さんたちの技術の高さには驚かされます。今は、月に一度藤原さんの工房を訪ねるのが何よりの楽しみです。あの大きな力織機の音も今は心地いい音色に聞こえます。いろいろ無理ばっかりお願いしている気もしますが(笑)。

藤原:

この仕事を長くやっていますと、考えが固まってしまうんですね。自由な創造力が働かないんです。他にはないものをと、こだわるあまりに考えが不自由になっていたこと、私も大塚さんと話していて気づいたことがたくさんありました。

大塚:

産地だからできること、職人さんだからできること、私だからできることがあります。これからも、一緒にものづくりをさせてもらって、niki*のテキスタイルを深めていけたらなと思います。

大塚美智代さんインタビュー